脚注1 「9.4最判」を詳しく検討した拙稿「9.4辺野古最高裁判決―こんなずさんな「審理員判決」でよいのか」世界2023年11月号10頁〜14頁、同「【資料解説】辺野古最高裁判決、これではまるで「審理員判決」ではないか!〜審理員意見書=裁決書=是正の指示の一体化は不当連結〜」自治労連地方自治問題研究機構「研究と報告No.144」(https://www.jilg.jp/research-note/2023/09/20/1638)、同「辺野古埋立不承認に関する国交大臣の「裁決的関与」と「勧告」・「是正の指示」」榊原秀訓・本多滝夫編著『地方自治をめぐる規範的秩序の生成と発展』(日本評論社、2024年)335頁以下、同「辺野古訴訟にみる最高裁の実体的判断回避の虚論」法と民主主義596号(2025年)16頁〜19頁、などがあるので参照いただきたい。
脚注2 西上治・「判例批評」民商法雑誌160巻3号129頁。西上は、この争点が上告受理申立理由に挙げられていない争点であるにかかわらず、最高裁がいわばこの争点のみで決着をつけたことについて疑問を呈し、沖縄県知事の不承認処分の実体的審理を求めた沖縄県にとっては、「一面では原判決よりも後退」と評価することができるともする(同130頁脚注4)。
脚注3 前掲(注1)の【資料解説】に添付した「《資料》【対照表】審理員意見書、裁決書、是正の指示書」(本稿【資料2】)を参照のこと。
脚注4 ちなみに、国交大臣の取消裁決と同日の令和4年4月8日付で変更承認を求める勧告(自治法245条の4)も行われているが、当然ながら裁決の拘束力に違反する違法性ついての言及はない。今はこのように裁決と勧告が同時に行われることの可能性・適法性についての検討は措くが、勧告が裁決と同時に行われてしまっては、裁決の拘束力に従わないことの違法性の指摘は困難であり、このことからも裁決と勧告の同時発出は不可といえる。
脚注5 そもそも裁決の拘束力違反の違法は行審法の規定違反の違法であるが、はたして自治法245条の7の法令違反等(本件では、公水法の規定判の違法等)になりうるのかが立証されていないのではないか。行審法違反の違法ならば、法令所管大臣は総務大臣であり、是正の指示の関与主体は総務大臣ではないのかという疑問もある。
脚注6 ただし、「3.16高判」の沖縄県知事の変更不承認処分に係る実体審理の内容は、決して褒められたものではない。本稿では、さしあたり裁決の拘束力論に焦点を絞っているので、この問題は措く。
脚注7 誰も、「裁決の拘束力を無視して法令違反要件を判断すべき」などとは述べていないように思われるが、原審「3.16高判」や沖縄県の裁決=違法・無効論がこれに当たると考えているのであろうか。
脚注8 最近の学説・判例の状況は、『条解 行政事件訴訟法〔第5版〕』(弘文堂、2023年)733頁以下の同法33条のコメンタール(興津征雄執筆)を参照せよ。
脚注9 原田尚彦「取消判決の拘束力」(ジュリスト925号)213頁。同論文における「実体法上の一般的な義務を個別具体的に定立」における「定立」の意味は筆者には必ずしも明らかでないが、原田が「取消判決の「拘束力」は、個別事例について、具体的に実体法上の義務を確認して行政庁の将来の行動規範を個別的に明らかにするところにある。判決は、すべて既存の実体法上の義務を個別的に確認するのがその職務であって、法秩序のうえに存在しない義務を創設するものではない。」というところからすれば、「法律上当然に存在する義務を「拘束力」によって確認することは有意義」であるとする考え方は理解できる。つまり、取消判決が「実体法上の一般的な義務」=「法律上当然に存在する義務」の中から、事案に即して個別的義務(同一過誤の反復禁止の不作為義務、原状回復義務又は不整合処分の取消義務)を読み取り、確認し、行政庁はこの判決の趣旨に従って、行動する義務を負うことになるという趣旨と解することができる。しかし、問題は、このような「判決」の拘束力が「裁決」の拘束力とどこまで等値できるのかである。
脚注10 和田山調査官は、「最高裁 時の判例」(ジュリスト2024年4月号(通算1595号)113頁以下)でも、「9.4最判」について解説を行っているが、紙幅の関係であろうか、このような詳しい理由は書かれていない。
脚注11 「Y」は、国交大臣のはずであるが、「X」の間違いではないか。調査官解説「法曹」238頁の「処分庁は、・・・実体法上付与された裁量権を、裁決によって個別具体的に定立された範囲内で行使すべき」といった記述からしても、公有水面埋立法によって裁量権が付与されているのは、処分庁である沖縄県知事であろう。「Y」のままでは意味不明であるので、以下、「X」の間違いとして取り扱う。
脚注12 岡田正則は、この点、「行政機関が「終審として裁判を行ふ」ことにしてよいのか?−最高裁2022(令和4)12月8日判決(辺野古裁決取消訴訟)」)(法学セミナー2023年3月号(通算818号)で、所管大臣による違法な裁決を是正する途をことごとく閉ざすことを、憲法76条2項違反であると断じる。
脚注13 前掲(注1)・白藤「辺野古訴訟にみる最高裁の実体的判断回避の虚論」も参照。
脚注14 さしあたり、埋立変更承認代執行訴訟については、白藤「〈判例時評〉「代執行訴訟」における裁判所の審査権 〜福岡高裁那覇支部2023(令和5)12月20日判決」法律時報96巻4号4頁を参照のこと。
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